ベクター形式…DXF・AI・EPS

レーザー加工で扱うファイル形式の中で一番多いファイル形式です。
カッティング、マーキング、様々な加工データとして使用します。入稿データの中で、よくある問題点についてデータ作成注意点を説明します。そして私が実践しているデータ作成テクニックについても説明したいと思います。

ラスター形式ページ

目次
①文字がアウトライン化されていない。
②モニター上とアウトライン上の違いを理解されていない。
③2重線になっている。
④残したい部分まで抜け落ちる。
⑤線幅が細すぎて切れてしまう。
⑥データ作成方法
⑦AdobeCaptureを利用してデータ作成
⑧レーザー照射の始点と終点 No.1
⑧レーザー照射の始点と終点 No.2

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①文字がアウトライン化されていない。
エクセルやワードのソフトウエアで作成された文字はアウトライン化されていません。イラストレーター(AI)やCADソフトで作成しアウトライン化したデータで入稿してください。
アウトライン化されたデータはアンカーポイントとアンカーポイントが結ばれた線で構成されています。

②モニター上とアウトライン上の違いを理解されていない。
デザイン画の場合に起きる問題点です。
扱うファイル形式が同じ一般的な印刷と、レーザー加工の大きな違いは、印刷物の場合はモニターに映し出された内容がそのまま印刷されますが、レーザー加工の場合は、デザインが構成されている内容の全てを加工対象とします。
どんな加工を施すか明確にしデータ作成を行ってください。

図例はモニター上で映し出された内容と、アウトライン上の内容のデータです。この様にデータが構成されています。レーザー加工する場合は、加工データとして適していません。大変手間のかかる作業となりますが、必要な線だけに編集する必要があります。
加工目的を明確にしてからデータ作成を行ってください。
(※ラスター形式として加工する場合はデータとして使用可能です。)
下図はレーザー加工用データの作成例です。

③2重線になっている。
この問題は非常に多いです。加えて非常にやっかいな問題点であり、モニターチェックでも見つけることが困難です。
例えば、一つの円のオブジェクトが2つ重なっている状況であり、レーザー加工すると同じ作業を2回繰り返します。気づかずに加工すると、焦げたり、最悪な場合は引火してしまいます。
なぜ?2重線になってしまうのか?
データ作成のプロセスの中で起きる現象だと思います。イラストレーターソフトで切り抜き等のコマンドを使用すると、2重線になる場合があります。作業工程の中でチェックすることを怠らないでください。
そして、この2重線を見付ける方法は、一つ一つのオブジェクトをチェックするしかありません。複雑なデザインを作成、編集する場合は加工内容の詳細を伝え、データ作成依頼することも選択の一つだと思います。ご検討ください。

④残したい部分まで抜け落ちる。
レーザー加工で切り抜く場合、抜け落ちないように残す島部分も必要になります。文字を切り抜く場合、例えば『田』をそのままぬくと『口』になってしまうことです。仕上がりをイメージして編集することが必要です。

⑤線幅が細すぎて切れてしまう。
レーザー加工では、木型で抜く限界の細かさ以上のことが加工可能です。データ内容を忠実に再現します。しかし、細かすぎて切れてしまうことも良くあります。
アンカーポイントとアンカーポイントを結んだ線をレーザー照射していきますが、この線に太さがあると考えてください。線と線の間隔が1㎜あっても加工後は約0.8㎜になります。0.2㎜がレーザー照射により素材が気化したことになります。あくまでも目安ですが線の幅を0.2㎜に設定してデータ作成すると良いでしょう。
注意点は素材により線幅が変化します。レーザー照射による熱影響は素材によって違いますし、レーザービームを集光するレンズによっても違います。(参考:CO2レーザービームスポット径 100μ~150μ)

⑥データ作成方法
適切なレーザー加工図面作成
下図は紙(ケンラン紙:黒180kg)の微細加工です。完成までの流れを説明します。
1.画像をスキャナで取り込みます。
実物の取り込んだ画像はこの様なサイズになります。(寸法表示㎜単位)

画像をイラストレーターでトレースしアウトライン化します。ポイント:アウトライン化した時点で2重線になっていないかのチェックをすると良い。後々大変になります。
2.加工したいサイズに調整します。(今回は約53%に縮小します。)

縮小して島部分が細くなりすぎた部分は太くする作業をします。
図面内の寸法表示してある部分が細くて気になる部分です。今回は修正無しでレーザー加工してみます。
3.レーザー加工した製品写真です。

図面内の0.24㎜部分はつながっていますが、強度不足で切れる可能性が高いので修正した方が良いでしょう。

⑦AdobeCaptureを利用してデータ作成

タブレットやスマートフォンの端末アプリとして、とても便利で使えるアプリがAdobeキャプチャーです。PCのソフトウエアillustratorと連動させてデータ作成します。illustratorCCであればファイルを共有できますので、さらに便利です。
ここでは、このアプリを使ってアウトラインデータ作成が目的となります。色付け、カラーパレット作成などの機能は使用しません。取り込んだ画像をアウトライン化するまでのお手伝いをしてもらいます。スキャナで画像として取り込み、illustratorでトレースする。Adobeキャプチャーはスキャナ部分の役割となるわけです。
先ずは画像を取り込みます。写真を撮る、保存してある写真を使う、どちらでもOK。
画像はFC GIFUのマスコットキャラクター

この写真をAdobeキャプチャーで開くとこうなります。

余分な部分は消しゴムアイコンで消せる。ラインもスムーズを選択するとある程度は補正もしてくれる。

こんな感じで仕上げて保存。

次はillustratorのアートボードで開き、画像をトレースします。

オート画像トレースだけでも良いですが、綺麗な仕上がりを求める場合はアウトラインの補正をします。

補正後のアウトラインはスムーズな曲線に。

このデータをレーザーマーキングし時の仕上りイメージです。データ作成の完成

⑧レーザー照射の始点と終点 No.1
加工データの作成テクニックになります。知っているだけでもデータ作成に違いが出てくると思います。
レーザー加工機を動かすアプリケーションにもよりますが、図面データ(主にdxf)を読み込んだときの加工順序は、データ作成順序とイコールとして考えて良いです。それが何?となりますが、加工時間や加工品質に影響してきます。加工をイメージしてデータを作成すると、より良いデータが作成できると思います。簡単に説明すると、データ作成した順序通りに加工していきます。それが、レーザー照射の始点と終点になってきます。
実践応用例:レーザーカット
AパーツよりBパーツを先にカットしたい場合:BオブジェクトをAオブジェクトの前にするだけで良いです。(簡単な作業ですが、複雑なデータになってからでは大変面倒な作業になってしまいます。)

⑧レーザー照射の始点と終点 No.2
No.2の説明ではさらに細かく始点と終点の設定について説明します。No.1では各々のオブジェクトの加工順位について、任意に加工順位を決めることが出来るということでした。NO.2では、オブジェクトの一つを、どこのポイントからレーザーを照射するかの始点を決定できることを説明します。終点については一つのつながったオブジェクトであれば、始点が終点ということになります。
ポイントはなぜ任意に始点を決めることが必要であるか?になります。品質難易度の低い加工データであれば、始点をどこにするかはたいして重要なことにはなりませんが、例えばこのオブジェクトは必ず綺麗に切り落したい。と言うように必ずという条件がある場合、任意に始点を決めることが重要になります。
 作業的にはとてもシンプルで、一つのつながったオブジェクトを切断するだけで良いです。切断したポイントが始点と終点になるわけです。別の表現の仕方では、書き始めと書き終わりですね。
図を見てイメージすると分かりやすいと思います。赤色部分のオブジェクトを切り落としたい場合です。この場合はno.1で説明した様に、小さなオブジェクトを先にカットします。次に大きなオブジェクトをカットしますが、点線の細い部分が不安定です。確実にカットしたい場合はBに始点を置くと良いと思います。その場合はBの位置で切断すれば、そこが始点と終点となります。

投稿日:2017年12月6日 更新日:

Laser職人