加工ソルーション…紙

『紙製品』

パルス発振CO2レーザー(波長10.6μm)と紙製品の加工適合性について紹介します。基本的にCO2レーザーと紙製品の加工適合性は良好であります。ここでは代表される紙素材を取り上げ、加工検証した結果をレポートします。ぜひ加工の参考にして下さい。

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目次
1.段ボール
2.インクジェット印刷用紙
3.洋紙
4.コートボール紙・チップボール紙
5.和紙
6.ファイバー紙
7.まとめ
8.その他
9.レーザー加工と集塵

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1.段ボール
段ボールの構造は2層、3層と異なった種類があります。簡単に言うと、一般的に紙の厚みが3ミリ、5ミリ、両方を重ね合わせた8ミリがあります。段の厚みが8ミリの物は高低差が8ミリありますので、条件的には難しくなります。それに段の層が2層あり、一発で切ることは避けた方が良いでしょう。発火の恐れもありますので十分に注意してください。
5ミリ、3ミリのタイプについては特に問題なくカットできます。

2.インクジェット印刷用紙
レーザー加工にはおススメできません。表面に塗布されている溶剤(サイズ剤)が変色の原因になっていると思います。(経験値からで確たるデータを元にしていない事をご了承ください。)

3.洋紙
レーザーを施したカード作成では各種洋紙を使うことが最も多いです。その中でもケンラン、五感紙、OK ACカードは加工後の黄変が少ないと思います。ただしカラー紙については、顔料等の影響があり、色付き等がございます。テスト加工の上、判断することを推奨します。(レーザー照射した時に発生する粉塵(煙)が付着し、その後の時間経過とともに素材に変化が現れてきます。)
写真:ケンラン紙 緑180kg

4.コートボール紙、チップボール
中層部分の原料は古紙が使用されています。レーザー加工した時にその部分から発生する煙が製品面に付着します。厚みにより煙の量も変わりますが、どちらかというと黒いススの様な煙で、加工後の品質を落としてしまします。煙への対策と、付着した煙の処理が必要です。

5.和紙
和紙と呼ばれる中でも色々な材質があります。手漉きで楮(こうぞ)を原料とした物、機械漉きでパルプにレーヨンやビニロンが配合された物などがあります。機械漉きの製品については素材の厚みが均一に仕上げられている為、安定した加工ができます。但し、和紙の表面加工にPPやガラスコートが施してある素材については、加工条件が難しくなります。加工テストをお勧め致します。
原料に楮が使用されている手漉き本和紙の場合は、楮の繊維、または手漉きによる厚みの不均一性で条件が一定ではありません。パワーとスキャナスピード、それに熱影響を抑える加工条件が必要です。
どちらのタイプの和紙加工においても、パルス発振レーザーでの加工がベストです。焦がすこと無く、加工可能です。
〈写真〉
本和紙のレーザー加工事例です。
 

厚手和紙
写真:マーキング各種
左:表面を焦がさないでマーキング
中:表面を少し焦がしたマーキング
右:濃いめに焦がしたマーキング

写真:抜き加工、デフォーカスマーキング

写真:和紙折り紙 150㎜×150㎜

6.ファイバー紙

ファイバー紙とは(北越東洋ファイバー(株)HPより引用)コットンパルプや精製パルプから作られた原料紙を、塩化亜鉛溶液の作用をかりて任意の厚さに積層後、塩化亜鉛溶液を抽出、除去し、乾燥してできる緻密で強靭なシート素材です。

原材料がパルプとなりますので問題なく加工できます。厚みに比例して粉塵の量も増えますが、後処理を行えば問題ありません。綺麗な仕上がりとなります。微細カッティングの場合は厚みは1ミリまでを推奨します。
ファイバー紙
厚み:0.8㎜/1.0㎜/1.2㎜ ※それ以外の厚みについはお問い合わせください。
素材色:白 ※カラー色の場合はシルク印刷の対応となります。お問い合わせください。
写真:ファイバークリップ

7.まとめ
一般的に紙に印刷することは当然の仕様です。もちろん印刷された紙をレーザー加工することは、特に問題はありません。加工可能です。
ただし、使用されている双方(紙材質、インク材質)の材質で加工品質が非常に大きく左右されます。これは実際に加工して直面した事であり、今ある加工技術のノウハウであります。
紙材質とCO2レーザーとの品質相性、インク材質とCO2レーザーとの品質相性。一つの印刷紙にすぎませんが、異なる材料が使われていることにより、全く違った素材になります。レーザー加工後の品質を重要視するならば、双方の特性も重要になってきます。素材を知ることがレーザー加工の品質につながります。

8.その他

CO2レーザーの加工事例として食品へのマーキング加工があります。紹介する食品素材はクッキー(焼き菓子)になります。加工内容はクッキーの表面に文字をマーキングをします。クッキーへの印字は主に転写(プリント)が多いと聞きます。イメージとしてはインクジェットプリンターで印刷するといった感じです。
写真のクッキーはCO2レーザーで文字をマーキングしてあります。クッキー生産ラインの中に、レーザー(スキャナ制御)が設置されていて、流れてくるクッキーへマーキングしていきます。マーキング時間は約2秒以内が目安だそうです。それ以上はコスト面に影響が出るからだそうです。レーザーマーキングのメリットとして、デザインの型変えが容易である。非接触であり衛生的である。印刷と違い雰囲気が出る。この様に食品業界でもCO2レーザーは活躍しております。

9.レーザー加工と集塵
集塵とはレーザー照射した素材から発生する煙(粉塵)を除去する事です。この集塵がいかに重要かということを説明いたします。市販のレーザー機には大方集塵機能が備わっています。レーザー加工を知らないと集塵に対する意識が低くなりがちですが、本当に加工品質を上げるには集塵能力を見直さなければなりません。理想的な集塵はレーザー照射後に出る粉塵を瞬時に除去する事です。素材をフルカットする場合の粉塵は素材の上側と下側に発生する為、両方の粉塵を除去する事が必要になります。
粉塵が素材へ付着することにより黄変したり、悪臭がしたり、想定外の影響が現れることがあります。粉塵対策は十分に検討することをお勧めします。

投稿日:2017年5月14日 更新日:

Laser職人