加工ソルーション…木材

『木材』

領域が広く、加工素材として非常に奥が深い。紙との関係性も密接です。紙の原材料は木(パルプ)ですからね。紙製品でも素材、原材料の種類によって、レーザー加工の条件が全く違うと同じように、木材のレーザー加工条件も、木の種類(樹種)によって全く違ってきます。
木材のレーザー加工方法としては、マーキング(彫刻)、カッティングの加工方法があります。


プラスチック
レーザー豆知識


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目次
1.雑木
2.ヒノキ
3.イチョウ
4.桜
5.ウォルナット
6.栗
7.タモ
8.シナベニヤ
9.ケヤキ
10.パルスレーザー加工の特徴
11.槐(エンジュ)

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1.雑木
樹種により焦げやすかったり、焦げにくかったりします。木の持っている脂分の分量の影響が大きいと思います。または、乾燥状態の度合いにも影響があります。雑木などは乾燥したものを使った方が良いです。
写真:雑木の掛時計
文字盤をレーザー彫刻してあります。仕上げに彫刻部分に塗料を入れてあります。

2.ヒノキ
流通している中でも、最も安定して入手しやすい樹種です。そして柔らかくレーザー加工もし易いです。
板目、柾目で年輪の影響の差が出ます。柾目の場合は年輪の間隔が狭く、深彫り彫刻は適していませんので、板目を推奨します。
脂分が多く含まれていて、ヤニの量が多いです。マーキングで長い時間加工をしていると、ヤニでベタつきが出てしまいます。濡れたウエスで拭き取るなどの後処理をした方が良いです。
写真の画像彫刻にヒノキを使いますが、ヒノキはとても吸収が良く発色が綺麗です。綺麗に仕上がる条件を見つけると、素晴らしい画像彫刻が仕上がります。私の一押しの素材です!

写真:写真彫刻(ヒノキ合板1㎜:板目)/ヒノキうちわ(ヒノキ合板1㎜)

3.イチョウ
柔らかく彫刻、マーキング加工がし易い素材です。脂分が多いのでヤニの処理も必要です。
発色は黒色に近いです。
写真:「イチョウの木のまな板」woodpecker

4.桜
木の特徴は硬くて根詰まりがしっかりしている感じです。素材の色目は、白ぽいというより薄茶色っぽいです。レーザー加工の感想は、写真などの画像マーキングよりも、深掘り彫刻で使われた方が良いと思います。脂分も少なく均一した硬度である為、彫刻の仕上がりも抜群の安定感があります。
発色は黒色に近いです。とても綺麗な発色をします。
写真:「時計盤に数字を彫刻」安定した発色です。

5.ウォルナット
世界三大銘木とも呼ばれ高級な素材です。流石に素材だけで高級感、存在感がありますね。個人的にも大好きな素材です。
素材自体の色は、ブラックウォルナットと呼ばれるだけあり、こげ茶や黒っぽい感じです。硬さもしっかりあります。
加工は名前などの彫刻に適しています。イメージ的には黒っぽく発色します。素材自体が黒っぽいため、レーザー彫刻してもコントラストがはっきりしません。広い面積の彫刻より、細かな彫刻に向いています。彫刻した部分に塗料を入れると良い感じに仕上がります。黒でも雰囲気がでて良い感じになります。

6.栗
素材は硬くて繊維状の目は太い感じです。木目の流れや雰囲気は個人的に好きですね。素材の色目は薄い茶色なので、レーザー彫刻とのコントラストが出来て良い雰囲気に仕上がります。レーザーとの相性も良い素材です。
写真:「時計/素材:栗の木」

7.タモ
家具や建具などに多く使用される幅広い素材です。素材は硬く強く、弾力性に富んでいます。素材の繊維は粗い感じで、色目は白っぽいです。
レーザーとの相性は良いです。ヤニの付着を抑えながら素材を焦がすには、熱影響を一気に入れ、素早く加工する必要があります。CWレーザー(連続発振)での加工はヤニの付着が多くなってしまいます。ヤニの処理は速やかにされる事を推奨します。繊維の目に入り込み取れなくなってしまいます。
写真:「タモ材/キャンプ道具」CAMP MANIA products

8.シナベニヤ
片面もしくわ両面に表面がシナが貼ってある合板です。中間層は色んな木材チップが入っていて、切断すると嫌な匂いがします。接着剤等も含まれていますので、大量に切断する場合は排煙と粉塵処理の考慮が必要です。
表面のシナ部分は年輪や木目の影響も少なく、肌色も白いのでマーキングに適しています。材料費も安く、アイデアで色々な物が製作可能です。
写真:キャラクタークリップ(キャラクター:シナベニヤ3㎜)/写真彫刻(シナベニヤ3㎜)

9.ケヤキ
高級木材で家具などの素材として使われています。非常に硬く、重量は重たいです。非常に硬い為、レーザー彫刻する場合は回数を多くして加工します。写真画像マーキングの場合は、木目が強い為に影響が大きく出ます。画像が木目に負けてしまい、画像が分かりにくくなります。写真画像マーキングは不向きとなります。
写真:自動車がマーキングされていますが木目が邪魔をして分かりにくいです。
写真:壁掛け時計レーザーV溝彫刻

10.パルスレーザー加工の特徴
パルス(ON・OFF)レーザーとCW(連続出力)レーザーとの仕上がりの違いについて説明します。
CWレーザー機はお求めになりやすいことから、多種類の機種がラインナップされております。安価なモデルだと30万円程度からあり、高額モデルで500万円位と幅広くあります。
ソフトウエアに関しては素材に応じたパラメーターをオートモードで設定できたり、加工アレンジを選択できたり、とても扱いやすい仕様が多いです。
写真:CWレーザー機加工品 画像処理あり/画像処理なし

上の写真2枚はCWレーザー機での写真画像マーキングになります。とても便利な画像編集ソフトウエアがあり、素材を選び明るさとコントラストを好きな設定値にするだけで加工できます。写真解像度DPIにつてもレーザー加工に適した値になるように設定されます。レーザー加工用に画像編集されたものと、そうでないものを比べてみます。
上の写真は画像処理ソフトで編集された画像マーキングになります。レーザー加工に適した編集がされています。下の写真は画像処理されていません。解像度DPI値は250dpiで画像マーキングしました。
比べると一目で分かりますが、レーザー加工用に画像処理をして、解像度についても適切な値に設定しないと良い仕上がりにはなりません。

写真:パルスレーザー機加工品

次にパルスレーザー機で加工した製品です。CWレーザー機との違いは画像処理の違いもありますが、グレースケール値がより細かく設定できます。それにより表現できることも多くなります。
もちろん画像処理と解像度の設定が重要です。

パルスレーザーとCWレーザーの違いを拡大写真で説明します。
写真はパルスレーザー加工とCWレーザー加工になります。
ふたつともパルス状にドットマーキングされています。パルスレーザーでは出力とショット数の設定が可能であり、グレースケールの再現性が非常に高いです。より表現豊かになります。
CWレーザーでもパルス状にレーザー照射していますが、一つのドットに対して連続して出力されている為、グレースケールの再現が出来ません。出力値の制御だけでは再現性も低くなります。目の部分を見るとその違いが良く分かります。レーザー照射する、しない。加えてショット数の制御。そして設定した解像度に対してピクセル毎に加工することがパルスレーザーでは可能となります。

11.槐(エンジュ)
素材として硬く丈夫な性質です。素材の色目は茶系が強く、下地とのコントラストが分かりにくい感じもあります。油分も少なくて加工し易いです。発色としては焦げ茶色になります。

投稿日:2017年11月20日 更新日:

Laser職人