加工ソルーション

1.Co2レーザー…スキャナ加工
2.Co2レーザー…プロッター加工
3.UVレーザー加工
4.グリーンレーザー加工
5.ファイバーレーザー加工
5.YAGレーザー加工

※レーザー加工に伴う重要な要素は加工データにあります。設備を動かす為のアプリケーションはレーザーメーカーにより違いはありますが、基本的に扱えるデータ方式は同じです。そこさえ理解しておけばレーザーを動かし加工する事はそんなに難しい事ではありません。
簡単にデータ説明しております。→ データソルーション

加工ソルーション…CO2レーザー(スキャナ加工編)

Co2レーザーは様々な素材と加工性が良く、万能レーザーとも言えると思います。波長は10600㎚と9300㎚があり、レーザーの中では一番長い波長帯になります。波長帯が長く熱影響が大きいことから熱加工とも言われます。

Co2レーザーで加工可能な素材を3つに分類し、さらに代表とされる素材を実際に加工検証します。そして、そこで得られた加工特性をまとめました。
素材分類
目次
1.紙
加工相性が良く、一般的にも多く加工されている素材です。紙素材でも非常に多くの材質があり、中にはレーザー加工に向いていない紙素材もあります。
2.木
紙同様に加工相性が良い素材です。加工方法として彫刻、マーキングが主となります。
3.樹脂・フィルム各種
加工相性は材質により大きく異なります。加工品質を求めると限られた材質に限定されてきます。
特に加工相性の良い素材はアクリルとPETフィルムになります。
Co2レーザー豆知識
Co2レーザー加工についてもう少し追求してみます。

加工ソルーション…CO2レーザー(プロッター加工編)

プロッター加工とはレンズにより集光されたビームをX,Yへ方向へ駆動させて制御する加工のことです。(レーザー波長の種類のページ中でも説明してあります)
スキャナ加工とプロッター加工では制御方法が違うだけで波長は同じです。(Co2レーザー)ですから加工できる素材も同じと考えて良いです。ただ、制御方法の違いで加工品質が大きく異なる場合もあり、目的に応じて加工方法を選択する必要があります。別ページにて加工事例を含めてご紹介いたします。

1.樹脂・各種フィルム加工事例

加工ソルーション…UVレーザー

UVレーザー加工について
UVレーザー波長は355㎚と非常に短く、多くの素材へ吸収されます。スポット径は約20μ程度と、とても小さなスポット径で、超微細加工が可能なレーザー波長帯というわけです。様々な素材に対してレーザーの吸収率が良好であり、優れた加工性を持ち合わせた波長帯であります。

パルスレーザー発振制御
パルスレーザーを作り出す制御方式は2通りあり、それらの違いは加工品質に大きな違いをもたらします。同じ波長帯のレーザー光であっても、素材に与える影響は全く異なり加工品質に大きな差があります。
1. Qスイッチ
2. MOPA (Master Oscillator Power Amplifier)

Qスイッチ
発振器キャビティに損失変調器を挿入する構造。これはキャビティ内の光損失を周期的に変調することにより特定のパルス幅でナノ秒のパルス光出力を生成します。(固定パルス幅で繰り返し周波数は約100KHzまでしか到達できない。)

 もう少し詳しく説明すると、光損失とは・・・レーザーは共振器の中で共振させることで増幅されレーザーとして出ます。この時、増幅させる際にはロスが出ます。この共振の際の品質をQ値といいます。Q値を低くして発振を抑え反転分布の大きくなったところでQ値を高くすれば大きな出力(ジャイアントパルス)を得ることができる。これを非常に短い時間(ナノ秒)に集約して放出することを出来るようにする構造をQスイッチといいます。
MOPA
レーザー発振器と増幅器がカスケード接続された構造。と説明されてもよく分からないのでシンプルに説明すると、レーザー発振器からの種となるレーザー(Seeder laser)をパルスピッカーで必要な部分を抜き取り、増幅器により出力する。それらのパルスを独立して調整することができ、繰り返し周波数はMHzまでの高周波出力が可能です。これが超短パルスレーザーと呼ばれるMOPA制御です。
・周波数調整範囲 (HYPER RAPID)   20Khz~1Mhz 
※それら制御方式の違ったレーザーは同じ波長帯であっても全く異なる加工プロセスの過程となるわけです。
pulse picker2のサムネイル
超短パルス
超短パルスとはナノ秒の1000分の1短いパルス幅であるピコ秒、さらに1000分の1のパルス幅をもつフェムト秒のことを指します。
この領域での加工は熱的プロセスを伴わない加工が可能となります。アブレーション加工と言われています。
熱を帯びる前に次へと進むといったイメージでしょうか。ただ、基本波よりパワーの落ちるUV波長での加工は繰り返し数も増え、加工時間が長くなる傾向となります。当然ながらいくらピコ秒とはいえ、照射し続ければ熱影響も出てきます。ベストなパラメーターを見付ける事は、レーザー知識と経験値が伴わないと難しいことでもあります。

アブレーション加工※
分子や原子の結合を切断しレーザー照射部表面が瞬間的に分解、飛散する非熱的加工。素材に熱が起きる前に進行すること。
熱加工
素材にレーザー光が吸収されることで温度が上昇し素材を溶融、気化させることで除去する加工

※アブレーション加工について
Qスイッチ:ナノ秒UVレーザー
MOPA:ピコ秒UVレーザー
この中でQスイッチとMOPAの発振制御方式の違いについて説明いたしました。その制御の中で繰り返し周波数の到達値に大きな違いがあるとありますが、この繰り返し周波数が素材に与える影響(熱)に大きく左右されます。そして、もっとも大きな違いはパルス幅の違いです。
ナノ秒とピコ秒の差は1/1000秒であり、ピコ秒では1パルス辺り、ナノ秒に比べて1/1000 秒の短い時間しか熱影響を受けないことになります。この様に熱が発生する時間がない事を理想とした加工のことをアブレーション加工といいます。

オペレーター目線からになりますが、ピコ秒UVレーザー加工のポイントは、繰り返し周波数、スキャンスピード、パワー、回数、それらのパラメーター値を決定し、熱影響の少ない加工品質を見極める必要があります。
加工コスト=加工時間と捉えると、加工品質に妥協する事が必要な場合もあります。小さなエネルギーでの加工では、どうしても加工時間が長くなりコスト面や生産性が悪くなります。
加工時間、加工品質、加えて生産性(コスト)も考慮したパラメーターを見付け出す事が重要となります。

ナノ秒UVとピコ秒UVの加工品質の違いを見てみます。同じフィルム素材を切断し断面の品質を比べます。
素材:テープの複合構成 総厚125μ
加工内容 ピコ秒UV:線幅200μ 凸部:50μ
     ナノ秒UV:線幅300μ 凸部:100μ

ピコ秒UV:切断面がシャープであり凸部も再現されています。

ナノ秒UV:寸法は出ていますが切断面はナノ秒UVに比べるとシャープさがないです。凸部をナノ秒UVと同じ50μにするとエッジが立たない為、再現性に乏しい結果になります。

1.UVレーザー加工事例

加工ソルーション…グリーンレーザー

グリーンレーザー(GN)とは基本波(IR)をクリスタルを通じて変調した第2高調波532㎚の波長帯のことを言います。可視光領域の緑色の光であることからグリーンレーザーと呼ばれます。主に金属の銅、鉄(SUS)、ニッケルへの吸収率が良いとされます。スポット径は約30μであり、微細加工が可能です。

加工ソルーション…ファイバーレーザー

ファイバーレーザーの波長帯は1064㎚であり、基本波(IR)とも呼ばれています。増幅媒体は光ファイバを使用した固体レーザーの一種です。レーザ結晶を使用した固体レーザー(YAG)に比べ、エネルギー交換効率が良く高出力化でき、メンテナンスも容易であります。スポット径は約50μです。

加工ソルーション…YAGレーザー

YAGレーザーの波長帯は1064㎚であり、基本波とも呼ばれています。YAGとは、Y(イットリウム)・A(アルミニウム)・G(ガーネット)と言われる結晶構造をもつ固体レーザーです。
スポット径は約50μです。

1.金属

アルミ、ステンレス、スチールへのマーキング加工
材質により加工特性も異なります。
ステンレスの種類

系統 鋼種 成分 特徴 価格

磁力

光沢
マルテンサイト系 SUS410 鉄+クロム(13%) 熱を加えると硬くなる。 安い 有る  
フェライト系 SUS430 鉄+クロム(18%) 建築用部材など。 安い(マルテンサイト系より高い) 有る 普通
オーステナイト系 SUS304 鉄+クロム(18%)+ニッケル(8%) 耐食性が高い。食器類や調理器具など。 高い 無い 強い

アルミの種類

番  手 含 有 物 特   徴
1000番系 アルミ純度99%以上 導電性、熱伝導性、耐食性に優れる。強度が低い。
2000番系 銅(Cu) 強度向上(ジュラルミン)
3000番系 マンガン(Mn) 耐食性を維持し強度を上げる。アルミ缶など
4000番系 シリコン(Si) 熱に強く耐摩耗性の向上。
5000番系 マグネシウム(Mg) 耐食性と強度向上。加工性が良く切削材料として使用。
6000番系 シリコン(Si)+マグネシウム(Mg) 5000番系より強度や耐食性に優れる。熱処理により強度向上。
7000番系 亜鉛(Zn)+マグネシウム(Mg) 熱処理による硬化でアルミ合金のなかで一番強度がある。車両やスポーツ用品に使用されている。

アルマイト処理
アルミの表面は傷つきやすく、腐食、摩耗を起こします。その保護としてアルマイト処理をすることが一般的です。アルマイト処理とはアルミの表面に陽極酸化皮膜を作ることです。皮膜層の厚みは5μ~20μ程です。その他に皮膜層に着色するカラーアルマイトもあります。
2.樹脂
透明な樹脂以外へのマーキング加工が主となります。
備考
 樹脂の種類は多くありますがABS、PP、POM、PS等の製品であれば透明以外は何らか吸収による変化はあります。樹脂にレーザーを照射すると黒く発色する、白く発色する、その他違った色に発色する。原料の配合により発色も変わります。レーザーマーキング用途に発色剤を配合させれば透明樹脂でもレーザー照射により発色します。
樹脂の種類の多さから考えると、樹脂マーキングは奥が深く加工知識が必要になります。

3.tesaレーザーラベル
tesaレーザー専用ラベルへのマーキング加工。CO2レーザーでもマーキング可能です。微細文字、高品質なコード印字が必要な場合はYAGレーザー加工が適しています。
レーザーラベルの特性を詳しく説明してあります。
YSGレーザー:サンプルトライ一覧
YAGレーザー加工例

マーキング技術から何が出来るのか。レーザー加工を施して付加価値を得る。求められない物には、いくら高度な技術を駆使しても付加価値を得ることが出来ない。そこを理解し、加工アイデアから付加価値を見付けていきます。

投稿日:2017年12月24日 更新日:

Laser職人