焦がす技術
CO2レーザーで木に文字を彫刻する。使用するレーザーはスキャナタイプのパルスレーザーです。素材はヒノキ。ヒノキは木肌が美しく香りも良い。ただ、脂分が多く、レーザー加工においては思い通りにいかない素材です。脂分が多いと、レーザー照射によるヤニの付着が気になります。加工後に濡れたウエスで拭き取っても簡単に落ちてくれないです。どうやってヤニの付着を防ぐのか、又はヤニの発生量を抑える。品質を求めていくと、結局はヤニとの戦いになる。
今回はスキャナタイプのパルスレーザーでヤニの付着を抑え、尚且つ焦がす。品質の高い加工技術を紹介します。
例えば細字など細かなピッチ間を焦げにより発色させたい。この場合は比較的簡単でパワーの強弱で狙いを見付けると良いと思います。難しいのは、広いエリアなど、面積が大きい部分を発色させることです。パワーを増やせば焦げの度合いも増えますが、過度な設定値は発火にもつながり適正ではありません。それとヤニが多く発生し、周りへの付着で品質を損ないます。薄い材料に対しては穴も開いてしまいます。
写真Aは細字と太字の見え方の違いです。(加工条件は同じ)太字の方はヤニが多く付着し、見た目が悪いです。
写真Bはパワーとピッチ間隔を調整しました。過剰なパワーを入れていないのでヤニの付着が抑えられています。見た目も綺麗に仕上がりました。
写真Cはパルスレーザーの特徴を活かした加工方法です。あえてパルス状に照射することで、この様に黒く発色します。CWレーザーでは不可能な加工方法です。