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レーザービーム・スポット径

投稿日:2019年5月9日 更新日:

ビームスポット径

レーザー発振器から放出されたレーザーはレンズにより集光され絞られます。レーザーには様々な波長帯がありますが、より小さなスポット径を得るには波長が短くなくてはなりません。ここではCO2レーザーを取り扱っていきます。
CO2レーザー(炭酸ガスレーザー)には10.6μmと9.6μmの波長帯があり、工業用には主に10.6μmが使用されていると思います。
CO2レーザーのスポット径は加工機の仕様とレンズにより決まってきます。加工機はプロッタータイプとスキャナタイプがあり、大まかにはプロッタータイプのレーザー機の方がビームスポットが絞れ、スキャナタイプはプロッタータイプよりビームスポットは絞れません。プロッタータイプは焦点距離が短く真上からビームを当てるために、集光レンズでスポット径を絞ることが出来ます。スキャナタイプはレンズからの焦点距離が長いため、スポット径はプロッタータイプに比べ絞れず大きくなります。スポット径の数値はおおよそプロッタータイプは50μ~100μ、スキャナタイプは100μ~200μ程度です。集光レンズにより絞り径を変えることも可能です。
集光レンズによりスポット径を絞ると焦点深度は短くなり、その逆は長くなります。焦点深度は短ければ短いほど加工条件はシビアに、長ければある程度の条件誤差も許容範囲に入ってきます。集光レンズで絞ったビームスポット径により様々な加工条件があることが分ります。
プロッタータイプ、スキャナタイプ、更には集光レンズの種類により、加工条件に大きな違いが出てきます。全ての加工条件をカバーするレーザー加工機はありませんので、素材の種類、厚み、加工方法、それらを明確にした上で加工機選びをすると良いと思います。
次の機会には、加工する側から見たレーザー加工機について考えてみたいと思います。

焦点距離:集光レンズから焦点面までの距離
焦点深度:より効果的にエネルギーを得られる距離(深さ)
焦点スポット:集光されたレーザービームの焦点面のスポット径(最大エネルギーを得られる焦点)

レーザータイプ 焦点距離 スポット径 焦点深度 エネルギー密度
プロッタータイプ 短い 小さい 短い 大きい
スキャナタイプ 長い 大きい 深い 小さい

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